JANOG54でBoFを開催しました

JANOG54でBoFを開催しました

7月3日~7月5日に奈良県で開催された「JANOG54」のBoFにおいて「アマチュアAS運用を議論するBoF」を当団体と島根データセンター友の会の共同主催で開催しました。当日の様子をご紹介します。当日は40人ほどの方にご参加いただき、様々な意見を交換することが出来ました。また、オンラインでのライブ配信も実施し、25人以上の方に参加いただきました。ご参加いただきありがとうございました。

開催概要に関しましては、以下の「JANOG54 BoF開催のお知らせ」をご参照ください。

https://www.homenoc.ad.jp/blog/janog/2024/06/22/JANOG54_BoF.html

BoF会場

開催の目的と背景

JANOGでのBoFの開催は2024年1月のJANOG53に続き4回目となります。前回は「個人やサークルでのAS運用」で困っていることについて議論しました。番号資源の割当/割振りや機器調達について話題に上がった際に、運用費用の高さに皆悩まされているという認識が共有されました。お金についてはセンシティブな話題となり今まであまり情報共有がなされてこなかったため、今回AS運用にはどのような費用がかかり、安く抑える方法はないかと行った議論をさせていただくことになりました。

また、より多くのASと経路交換するためにはインターネットエスクチェンジに接続することが有用ですが、接続には様々なハードルがあります。当団体と島根データセンター友の会のIX接続までの経緯とIXの接続状況を整理し、より広く経路交換をするための方法を考えるためこのテーマを選定しました。当団体が今年の6月に接続したJapan Community IX様にもご登壇いただき、「アマチュアAS」というコミュニティについても考える場となればと思います。 さらに、台湾のコミュニティーベースのIXであるSTUIX様にもご登壇いただき、IXの運用についての情報交換を行いました。台湾からお越しいただきありがとうございました。

本BoFでは以下のようなスケジュールで進行させていただきました。

  • インターネット接続について(15分)
    • 現在のIXへの接続状況
      • AS59105 吉川
      • AS38074(島根データセンター友の会) 高田様
    • JCIXご紹介
      • Japan Community IX 水戸様
  • AS運用に関するお金の話(10分)
    • 現在の状況について
      • AS59105 伍藤
      • AS38074(島根データセンター友の会) 高田様
  • STUIXご紹介(5分)
    • AS38855(STUIX) 尤理衡様
  • 議論(20分)

発表いただいた方々

今回は当団体と、島根データセンター友の会、Japan Community IX様、STUIX様に発表をいただきました。お忙しい中発表を頂き誠にありがとうございました。発表資料は以下のリンク先で公開しております。 https://speakerdeck.com/as59105/amatiyuaasyun-yong-woyi-lun-surubof-janog54

  • AS38074 島根データセンター友の会 高田彩生 様
高田様の発表
  • Japan Community IX 水戸様
水戸様の発表
  • AS59105 Home NOC Operators’ Group
伍藤の発表
  • AS38855 STUIX 尤理衡様
尤理衡様の発表

ディスカッション

今回のBoFでは大きく分けて「インターネットエクスチェンジ接続について」、「AS運用に関するお金について」の2つのテーマで議論を行いました。議論で出た内容を以下にまとめます。

  • インターネットエクスチェンジ接続について
     発表では、IXへの接続に必要な設備についてまとめ、当団体や島根データセンター友の会のIX接続までの経緯を紹介しました。IXへの接続のモチベーションとしては、広く経路交換を行いたいという考えの他、IXが作るコミュニティの重要性についても触れられました。IXごとにピアリングフォーラムやユーザ会が開催され、それぞれのコミュニティが形成されます。特に、今回ご紹介いただいたJapan Community IXでは、接続する組織が会員となってIXの運営に参加することができる他、非営利であるため接続料金が比較的安価であり、学生や個人による新たなコミュニティが生まれることが期待されます。また、台湾のコミュニティベースのIXであるSTUIXでは100弱の組織が接続しており、平均で45Gbpsのトラフィックが流れていることを紹介していただきました。このような前例を参考に、会場からも接続数を増やしていきたいとういう声が上がりました。

なお、本BoFのあとに「けしからん連合ネットワーク改め、Japan Open Network にようこそ!」というプログラムが開催され、そちらでもJapan Community IX設立の経緯について詳細に説明がありました。資料は以下のリンク先でご確認いただけます。

https://www.janog.gr.jp/meeting/janog54/open/

  • AS運用に関するお金について
     発表では、年間の支出と収入の内訳を紹介し、AS運用にかかる費用について議論しました。AS運用には、IPアドレス維持費、トランジット費用、データセンター費用等がかかります。特に、IPアドレスの維持費用は、運用費用の大きな部分を占めるようになっています。会場からは、社会情勢の変化のために運用にかかる費用を予測するのは困難であり、会費等の設定が難しいといった意見や、法人となった場合には会計処理のスキルが必要となることも指摘されました。1U単位のコロケーションサービスを利用することやIX接続を行うといった、コストを抑える方法についても議論が行われました。

当団体は一般社団法人として決算情報を以下のリンク先で公開しております。

https://www.homenoc.ad.jp/about/disclose/

終わりに

 本BoFにご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。次回のJANOGでも開催を検討したいと思いますので、宜しくお願いいたします。