トランジット提供ポリシー
当団体は無償のIPトランジットプロバイダーではなく、当団体の活動目的と近い目的を持つ個人や団体に対して、双方にメリットがあると考えられる場合に対して、実験的にIPトランジットを提供しています。
IPトランジットは本来は有償のサービスとして提供されるものですが(一部に無償で提供している組織もあるようですが、日本国内では有償の契約が一般的)、当団体が無償でIPトランジットを提供できるのは、スポンサー企業様の協力によるものがあります。当団体が無償でトランジットを誰にでも提供すると、スポンサー企業様のビジネスを妨げることになってしまう可能性があります。
また昨今、個人や非営利団体などでグローバルASの割り当てを受けてネットワークを運用する者が増加していますが、適切に運用されていないと思われるネットワークが散見されます。番号資源は有限の空間である上、適切に運用され ていないASが増加することはThe Internet全体に悪影響となります。当団体はIPトランジットを提供する側についても、トランジット提供先のネットワークについて一定の責任があると考えており、適切に運用されていないASへのトランジット提供は避けたいと考えております。
このような背景により以下のポリシーを設けておりますので、IPトランジットの提供をご希望される場合は、ご自身のASがポリシーを満たすかどうかを予めご確認ください。
運用者に関する要件
- 個人または非営利の団体や法人であること。
- 活動内容をWebサイトなどで公開していること。
- 番号資源のWhois上の名義が法人である場合は、非営利法人であることがその法人のWebサイトで確認できること。
- トランジット提供を希望する者がそのASで何らかのサービスを提供している場合は約款などで非営利用に限定していること。
番号資源に関する要件
- APNICまたはJPNICからの割り当てを受けていること。
- 他のRIR、NIRからの割り当てを受けている場合は以下の要件のどちらかを満たすこと。
- 主たる住所(個人の場合は居住の実態のある住居、団体の場合は実態のある事務所)がそのRIR/NIRの管轄地域に存在すること。
- ネットワークサービスの主要な提供エリアがそのRIR/NIRの管轄地域に存在すること。
- 特別な理由のない限り、単一のレジストリから番号資源の割り当てを受けていること。
- 番号資源に関するレジストリのポリシーとそのポリシーが存在する背景を理解していること。
- 自組織が直接レジストリから割り当てを受けていないIPアドレスを利用する場合は、アドレス割当元の組織からのレター(LoA)を提出すること。
接続方式(アクセス回線)に関する要件
- 日本国内に接続ポイントがあることを強く推奨する。
- インターネット経由(双方がフレッツ光を利用している場合を除く)でのトンネルを利用した接続は推奨しない。
- パブリッククラウドやVPSサービスを利用したトンネル接続は認めない。
ルーティングセキュリティに関する要件
- ROAを作成しRPKIにより検証可能であること。
- ルートセキュリティに関するMANRS業界標準(https://www.manrs.org/)の要件を満たしていること。
- 対応できない項目がある場合は、合理的な理由(レジストリからの直接割り当てのIPアドレスではないためROAを作成できないなど)を明示すること。
パブリックなデータベースに関する要件
- Peering DBに運用情報を登録・公開していること。
- IRR(RADB/JPIRRなど)に適切なObject情報を登録していること。
- Whois に適切な情報を登録していること。
- 各データベースの情報は最新で正確な情報に更新されていること。
その他
- トランジット提供を希望する者が他のグローバルAS(子AS)にトランジット提供をしている場合本ポリシーが子ASにも適応されるものとする。
- BGPセッション断を伴う作業などを行う際や障害によるセッション断については可能な限りメンテナンス連絡をすること。
例外規定
- 上記の要件を満たさない場合でも以下のような事情がある場合は相談の上で接続を認めることがある。
- 研究や実験の内容上、要件を満たさない接続が必要である場合。
- 当団体やインターネットコミュニティにとって有益な接続である場合。(オープンソースなどの活動、学生を対象とした競技会、イベントネットワークなど)
2023年8月1日 新規作成