正会員の吉川です。 2025年7月8、9日にフィリピンのマニラで開催された PhNOG 2025+ に当団体より吉川と伍藤の2人が参加しましたので、その様子をレポートします。 また、PhNOGの前日7月7日には当団体のフィリピンにおける接続拠点であるPOP201にてメンテナンスを行いました。
POP201メンテナンスについて
POP201は昨年7月に当団体初の日本国外拠点として開設したマニラの拠点です。 POP201ではIX接続としてBBIX Manilaへ接続しています。 海外拠点であり頻繁に訪れるのは困難であるため、今回のようにPhNOG等のイベントと合わせて年1、2回ほどメンテナンスに来ています。
専用線は非常に高額であるため、POP201ではDIA (Direct Internet Access) にてインターネットに接続しています。 このDIAを用いて東京のコア拠点2箇所と接続し、各拠点間で仮想L2トンネルを張るためにこれまでNEC IXシリーズルータを使用してきました。 しかしながら、高性能な機器は価格が高いこともあり、NEC IXは中古市場から入手しているため、入手安定度が高くないという課題がありました。 加えて、設定の自動化が行いづらいことや、ショートパケットの処理性能があまり高くないため、ショートパケットを大量に転送するとCPU負荷が高騰するなど、技術的な課題も存在しました。 このような背景から、当団体ではEtherIPがカーネルに実装されているFreeBSDを汎用サーバにインストールして用いることで、これらの問題を解消しようという試みが進められています。 すでに日本国内のいくつかの拠点において導入されており、期待通りの性能を得られていることを確認しています。 今後も導入を進め、ノウハウが蓄積したタイミングで詳細を公開予定です。 今回のメンテナンスでは、POP201においてもNEC IXをFreeBSDベースの小型PCに置き換える作業を行いました。 使用したマシンはIntel N150、RAM 8G、1G Eth 4ポートを搭載した小型PCであり、2万円を切り安定入手可能です。 注意点として稼働時に上面のヒートシンクが非常に高温になるため上面を塞がないよう配置することを推奨します。

PhNOG 2025+ へ参加
PhNOG 2025+は全体で7月7日~11日に開催され、7日はSelf ArrangeのMeeting Day、8日はConference Dayということで主に地元企業によるセッションやPeering Personalが行われました。 9日はPeering Dayで、ピアリングやインターネット技術に関するセッション、10日と11日はWorkshopが開催され、インターネット技術に関する基礎的な講座が行われました。 PhNOG 2025+の日程の詳細はhttps://www.facebook.com/groups/632112196877805/をご確認ください。
当団体からは7月8、9日に参加し、Peering Personalでの発表や地元企業の方との交流を楽しみました。 POP201の設立の目的として海外バックボーンへの技術的興味とともに、国外の事業者の方々と交流しその国のインターネットについて知り、当団体の活動のノウハウを共有することでインターネットコミュニティをより発展させたいという思いがありました。 そのため、PhNOGでフィリピンPOPの設立を発表し、地元の方々と交流できたことは大変光栄に思います。 昨年も当団体より2名が参加していることもあり、当団体のことを知ってくださっている事業者の方もおり、海外イベントへ積極的に参加していることが少しずつ身を結んできていることも実感できました。
Peering DayのセッションではAPNICやRIPE等国外のトップレベルの方々を招待し、若手の技術者のインターネット技術を熱心に学ぶ姿勢がよく見られました。 参加こそできませんでしたがWorkshopと合わせて運用技術を学べる体制は学ぶべき点が多いと感じました。
8日と9日の夜には懇親会が開催され、地元の料理と共に多くの地元の事業者の方と交流することができました。 IXやキャリア等の事業者の他、我々と同じように非営利でインターネットセキュリティに関する技術提供を行っている団体の方とも交流することができ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。 また、国家主導でファイバー網を敷設している話や、多くのIXがフィリピンに進出し盛り上がりを見せていることなど、その国ならではの情報を多く聞くことができました。
来年のPhNOG 2026+はセブ島での開催です。来年も多くの方とお会いできるのを楽しみにしています。

