Asia Peering Forum 2023に参加しました

一般社団法人 Home NOC Operators’ Group 正会員の桑原です。
2023年9月5日から7日に北海道の札幌市で行われましたAsia Peering Forum 2023に参加をして参りました。
稚拙ではありますが学生がグローバルなピアリングフォーラムに参加した経験としてここにしたためさせて頂きます。 

Asia Peering Forumとは

Aisa Peering Forum(通称APF)とは、Equinix Inc.によって主催されるピアリングイベントです。
主にアジア太平洋地域の通信事業者、コンテンツ事業者やホスティング事業者など、ASを運用する事業者の相互接続担当者が参加し、その相互接続についての議論や交渉を行う場として年1回アジアで開催されています。
例年、各国で輪番に開催されており、今回は日本の北海道札幌市にて2023年9月5日から7日の3日間の日程で開催されました。

参加目的

当団体は設立より8年目となり、現在では80団体を超える接続利用者を有する、日本国内の個人AS※1としては比較的に活動を持続しているコミュニティであるかと思います。
トラフィックについても増加傾向でありこれを効率的に転送するために、当団体は積極的に他ASとのピアリングを行っており、その交渉を行う機会としてこのようなピアリングフォーラムなどへの参加を行っています。

また、当団体の活動理念や活動内容について広く紹介を行い理解をいただくことで、業界内で個人ASという文化の認知の向上を図り、健全なコミュニティの発展を目指すという狙いもあります。
今回のAPF2023には当団体から私と、理事の米田の2名が参加をしました。

※1 ここでいう個人ASとは、個人、非営利団体、学生や社会人サークルなどで運営されているASで、ネット ワーク技術の研究や勉強、自宅サーバ、などを目的とした非営利のASを指します。

ピアリング交渉

APFでは交渉テーブルを提供する仕組みが用意がされています。
これは1日目及び3日目のほぼ全日を通して行われ、1セッション30分以内でお互いの事業や活動についての説明などを行い、ピアリングについて交渉、調整をします。
当団体は今回、8事業者とミーティングを行い、内5事業者とのピアリングの合意に至りました。

基本的に海外の事業者とのミーティングであるため、交渉や相談も英語で行うことがほとんどです。
しかし、恥ずかしながら私は英語が得意ではないので、資料や説明内容を事前に用意していかなければ思うように話を進めることができません。
今回は準備として、ペライチで当団体の紹介資料を作成し、相手事業者との話題についての想定問答をいくつか設定しておくといったことを行いました。

そうしてこちらの意図を何とか相手に伝えることができたとしても、相手の話している内容がなかなか聞き取れず、想定以上に難航する場面もありました。
また、想定外の質問を受けるといったこともあり、咄嗟の受け答えが出来ず翻訳アプリケーションに頼る場面も多かったように思います。

尚、このミーティングの設定はイベント専用のポータル上で行いますが、お互いのタイムスケジュール次第では調整が困難な場合もあります。
しかしアジアの事業者が集まる貴重な機会ですので、ミーティングが設定出来なかったからと諦めるのは早計です。
そういった事業者と交渉や相談したいことがある場合には、通路ですれ違った際や、別に行われる懇親会などでも積極的に声をかけ、手短に話をすることもあります。

ミーティングの様子

ピアリングパーソナル

また、2日目には講堂でピアリングや相互接続に関する様々なセッションが行われます。
この内にPeering Personalと呼ばれるプログラムがあり、各事業者が順番にステージに立ち、それぞれおおよそ1分以内で自社の紹介を行います。
このプログラムは、上に説明したミーティングのセッションを設定していない他多数の事業者に向けても当団体の活動概要を紹介することができ、当団体の活動について広く知っていただくためには重要なものとなります。
当団体からは私が発表をいたしました。
こちらについては、短い時間ながらも登壇するということで多少の不安や緊張こそありましたが、しっかりと準備をして臨んだこともあり、大きな問題はなく発表を終えることができました。

Peering Personalの様子

最後に

私は、こういった事業者同士のミーティングを主としたピアリングイベントへの参加は今回が初となります。
恐らくそれが日本語を用いて行われるものであったとしても大きな緊張を伴うものであったと思いますが、今回はその多くが英会話を要するということで、イベントまでの心理的不安は非常に大きいものでした。
何一つ伝えることができず相手にご迷惑をおかけしてしまうのではないかとも考えましたが、そのような不安とは裏腹に、実際に話した方々は皆様とても親切で、私の拙い英語を懸命に聞き取ろうとしてくださいました。
この雰囲気があったからこそ、それまでの不安は払拭され自信をもってこのイベントに臨めた様に思います。

今回のイベントは、ピアリングイベントの要領を得るという部分でも得るものがありましたが、何より、海外の方とのコミュニケーションに対する自信を得られたということが自身の一番の成長であったように思います。
今後も可能であればこういったイベントに参加をしていこう、という積極的な気持ちになれた非常に良い経験でした。

最後に、今回お世話になりました多くの方々に厚く御礼申し上げますとともに、今後も何卒宜しく申し上げる次第です。