JANOG53で野良BoFを開催しました

JANOG53で野良BoFを開催しました

1月17日~1月19日に福岡県で開催されました「JANOG53」の野良BoFにおいて「個人やサークルでのAS運用を議論すBoF」を当団体主催で1月18日に開催しました。当日の様子を本ブログにてレポートいたします。当日は会場は満席となりとオンラインを合わせて40人近い方にご参加いただきました。また、海外から参加いただいた方もいらっしゃいました。

野良BoF会場

開催の目的と背景

 JANOGでのBoFの開催は2023年7月のJANOG52に続き3回目となります。昨今、個人や団体(学生さんのサークルなどの任意団体)などでAS番号の割り当てを受けてネットワークの運用をする方が増加しています。一方で当団体から見ると活動は各団体内で閉じており余り交流が無いように見えていました。企業などが運用するASとは異なり、個人や任意団体ならではの知見や悩みがあるはずで、それらを共有できた方がお互いにとって有益なのではないか?と考え、日本最大のネットワーク技術者のコミュニティであるJANOGでBoFを開催することにしました。当団体では「Community Slack」を用意しており、オンラインで各ASの運用者はコミュニケーションが可能です。しかし、当団体のSlackに加入していない方もいますし、オフレコの話などもあるので、やはり対面の方が活発な議論ができるのではという結論に至りました。

JANOG52(長崎)では複数のAS運用者の方にLT大会形式で発表を頂きました。多くの方に活動内容をお話いただけた一方、議論に十分な時間を取ることができませんでした。そのため今回は議論の時間を40分程確保できるような構成での開催といたしました。

発表いただいた方々

今回は当団体と、比較的長期間に渡ってASを運用している方、他のASにトランジットを提供している方として、島根データセンター友の会に、西日本を中心に活動している方としてdoornoc様に発表をいただきました、お忙しい中発表を頂き誠にありがとうございました。発表資料は以下のリンク先で公開しております。

  • AS38074 島根データセンター友の会 高田彩生 様
高田彩生様の発表
池上謙一様の発表
  • AS59105 Home NOC Operators’ Group 理事 山口勝司

ディスカッション

 今回のBoFでは発表者の方とミーティングの上で、「個人やサークルでのAS運用」で困っていることについて議論のテーマにすることが決まりました。困っていることは色々ありますが以下の4点を議論のテーマとしました。各テーマを選定した背景をこのブログで紹介します。

  • 長距離回線(主に東京~大阪)の品質確保と西日本の活動を活性化する方法
     このような活動は東日本が中心とした団体多く、東京では様々なリソースを確保も比較的しやすい一方、西日本では難しい現状もあります。また、東京と大阪にバックボーンを持つ団体は、東阪間をフレッツ光を利用したトンネリングで接続していることが多いようですが、NTT東西の渡りはインターネット経由となるため通信品質の劣化に悩まされているケースも多くこのテーマを選定しました。

  • 機材の入手と設置場所の確保はどうしていますか
     ネットワーク機器を購入する十分な資金を確保できない団体も多い中、特に「自宅や限られたラックスペースで動かすことのできる小型省電力のBGPフルルートルータ」を確保するのが難しいという意見があり、このテーマを選定しました。インターネットオークションでの機器調達は一般的な方法ですが、昨今のネットワーク機器はサブスクリプション方式のライセンスを導入しているメーカーもあり中古調達が難しくなっているケースもあります。

  • 番号資源の割当/割振りについて困っていることはありますか
     当団体が活動を開始した約10年前はIPv4アドレス/22と、それを使い切った後は追加の/22の割振りを受けられましたが、現在は/23が1回のみとなっています。番号資源の割当/割振り(特にIPv4アドレス)については困っているという声を良く聞くためこのテーマを選定しました。

  • このような活動が業界で広く認められるようになるにはどうすればよいか
     個人や団体(学生さんのサークルなどの任意団体)などでAS番号の割り当てを受けてネットワークの運用をする方はここ数年特に増加していますが、どのような活動をしているか見えていない状況があります。このような活動が(ビジネスでASを運用している多くの方々に)認められるにはどのようにする必要があるかについて議論したいと考えこのテーマを選定しました。

終わりに

 野良BoFにご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。次回のJANOGでも開催を検討したいと思いますので、宜しくお願いいたします。